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1.はじめに 今年に入って、インターネットの自殺系掲示板で自殺者を募り、共に自殺を図るといういわゆる 「ネット自殺」が相次いだ。 しかし、「ネット自殺」が話題となったのは今年が初めてではない。 98年12月12日には、東京・杉並区の無職の女性(24)が、 「ドクター・キリコの診断室」というインターネットの掲示板で専属「ドクター」をしていた 札幌市在住の男性(27)から青酸カリを譲り受け、15日に死亡するという事件があった。 さらに、同日この男も自殺したが、警察はこの男を自殺幇助容疑で被疑者死亡のまま書類送検した。 いわゆる「ドクター・キリコ事件」である。 (ちなみに、ドクター・キリコとは、手塚治虫の『ブラックジャック』 に登場し、あくまで病人を治そうとするブラックジャックに対し、 苦痛を与え続けてなお生かすよりは安楽死させた方がよいとして、ブラックジャックと敵対する キャラクターである。) これは厳密にはインターネットを通して知り合った人々が直接連絡を取り合い、 薬物を入手した点で、今日の私たちの認識する「ネット自殺」とは異なっているように思える。 だが、2000年には、インターネットを通じて知り合った男女が空き家で共に自殺を図るという 事件が起きるなど、徐々に現在の状況に近づいて来るようになった。 そして奇妙な事に、ネット自殺を試みる人々は一人では死ねないとして仲間を募り、 自殺手口も酷似している場合が多い。 なぜこのような事が起こってしまうのか。以下、考察する。 目次に戻る▲ |
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2.自殺の推移 警察庁発表の自殺者数の統計によれば、昭和53年から平成9年までの自殺者数は おおよそ2万5千人前後であったが、平成10年に入ってからは3万人を突破した。 さらに、 世界的に見ても日本の自殺者数は突出している。 その理由の1つとしては、日本人の生死観や文化にあるのかもしれない。 そもそも西欧では、宗教上の理由から「自殺は悪」ととらえる向きが多いが、日本では逆に死に よって悪や間違いが許されるとされてきた。 かって江戸時代には責任を取るという形での切腹が行われていたし、 そうすることが潔い責任の取り方と受け止められていたふしもある。 そのような風潮が未だに残っているのかは疑問であるが、少なくとも今の日本では 自殺は美化されがちである。 例えば平成11年の7月に文芸評論家の江藤淳氏が妻の死や病気を苦にし、 「(略)…脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず、自ら処決して 形骸を断ずる所以なり(略)…」という遺書を残して自殺した時には、 この自殺を夫人への深い愛情の証とする 報道が目立ったということである。 目次に戻る▲ |
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3.なぜネット自殺が起きるのか? マスコミによって報道されているネット自殺には奇妙な共通点がある。 すなわち、自殺掲示板などで共に自殺してくれる仲間を探し、 あるいはそれに応じて互いに連絡を取り合い、自殺をするものである。 しかも、その自殺方法はなぜか練炭によるものが多いようだ。 実際にはネット自殺を行う人間というのは、そのようなタイプの他に、 ネットから自殺に関する情報を得て一人で死ぬケースもあるはずだが、 最近はそのようなケースが報道されることは少ない。 なぜ最近のネット自殺にはこのような共通点がみられるのであろうか。 1つには、自殺系サイトに行くことで、これまで周りの人間には言えなかった 自殺願望を口にする事が容易になったことがあるようだ。 自殺願望はなかなか口にしにくい。 面と向かって「死」について議論するという事は、まだまだ タブー視されているように思える。 一人では死ねない自殺志願者の多くはすぐに死ぬということをせず、とりあえず、様々な事情が 彼らを自殺から思いとどまらせてきた。 ところがネット上の掲示板のように、匿名でそれについての議論が出来るような場が 登場し、事情は変わってきた。 ただ話を聞いてほしいだけという人や、他人からの書き込みによって自殺を思いとどまる人も いるが、掲示板が自殺志願者同士が集う場と化し、自殺を引き起こしてしまう事もある。 一人では死ねないという人が掲示板を利用することにより、実際に自殺するという ケースである。一人で死ねる人は掲示板を利用しなくても死ぬであろうが、 一人では死ねないと考える人は、掲示板を利用することにより、現実味を帯びて 死を考えるようになるようである。 2つめには、自殺系掲示板では実に多くの情報が手に入り、 実際に自殺することが容易になることが挙げられる。 自殺方法が詳細に分かり、掲示板を通して知り合った仲間から薬を手に入れることも出来る。 同じ自殺志願者仲間もいる。 そうなれば、あとはいかにして死ぬかを考えるだけである。 自殺方法が偏りがちになるのは、彼らが自分で考えることをせずに、「あの方法なら死ねる」、 「あの方法で自殺した人がいる」といった情報に頼っていることの現われのようにも 思える。 目次に戻る▲ |
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4.自殺系掲示板は否定されるべきなのか? ネット自殺者は自殺系掲示板で自殺仲間を募る事が多い。 ならば、このような掲示板は自殺を幇助するものとして否定されるべきものなので あろうか? 確かに、自殺系掲示板には自殺情報などが入り乱れていることも多く、 それを見た人が自殺を試みるかもしれないという可能性を考えると、規制すべきであるかのようにも 思える。 しかし、警察はいまだに自殺掲示板を規制するという方向には動いていない。 そもそも自殺に関する情報が載っていたからといって、それを見た人が自殺するとは 限らず、自殺幇助とするにはいささか弱すぎる感が否めない。 さらに表現の自由の問題もあり、規制は難しいとされる。 また、規制をかけたとしても自殺志願者はなんらかの方法で自殺方法を探したり 自殺について語る場を設けたりするであろうし、そうなれば結局いたちごっことなる 可能性がある。 掲示板の管理人が意図しなかったことで、急に掲示板に自殺掲示板じみた投稿がおこなわれて しまうこともあろう。 ならば、自殺掲示板を廃止させるのではなく、自殺掲示板を訪れた人々が 自殺を思いとどまるような仕組みづくりをする方がよいのではないだろうか。 その為には、管理人等の協力も不可欠となる。 長い文章で自殺に関する意見交換がなされている。 (ぼやけてて見にくいです。すみません) 目次に戻る▲ |
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5.おわりに 以上、ネット自殺について述べた。 自殺を行う人物は2種類に分かれる。一つ目は一人で死ねるタイプ、二つ目は一人では 死ねず、仲間を募るタイプである。 ネット自殺はこのいずれも取り込む。例えば、一人で死ねるタイプの人はネット上で 具体的な自殺方法を知ることで死に走るであろうし、一人では死ねない人も、掲示板等で自殺志願者を募って集団で自殺を図る。 インターネットの登場、特に自殺掲示板の登場は、自殺者に今まで以上に自殺の道を開いたといえる。 しかし、私は自殺掲示板そのものは否定されるべきものではないと思う。 実際に多くの自殺系掲示板に行くと、自殺志願者の書き込みに対して 自殺を思いとどまらせるようなレス(返信)が目立つ。 さらに、自殺系掲示板のあるサイトには、リンク先として『いのちの電話HP』などの 自殺を思いとどまらせるようなサイトをいれている所もある。 しかし、隠語などが使われて目的が自殺防止なのか判然としないサイトも あるということで、問題の解決を行政や警察に頼るのは難しい。 そこで、そのようなサイトを規制するよりも、インターネットによる悲惨な事件をなくすような社会教育システムを作り上げる ことで事件防止を考えていくほうがよいであろう。 実際にアメリカなどでは社会教育として注意を呼びかけているが、日本では遅れているようだ。 それでも自殺をしようとする者は出てくるだろうが、最終的にそれを思いとどまらせる のは身近にいる人々に他ならない。 目次に戻る▲ |
| HPアドレス | 具体的な内容 |
| 考察・ネット社会 | インターネットとは? インターネットの特徴 |
| 自殺の心理 | なぜ自殺系サイトが登場したのか? 自殺系サイトは悪なのか?自殺系サイトのこれからのあり方とは? |
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(毎日 INTERCTIVEより) 見えない網・追跡ネット自殺 1 見えない網・追跡ネット自殺 2 見えない網・追跡ネット自殺 3 見えない網・追跡ネット自殺 4 見えない網・追跡ネット自殺 5 見えない網・追跡ネット自殺 6 見えない網・追跡ネット自殺 終わりに |
ネット自殺を試みた人物の体験記。 彼らがネット自殺をしようとした理由 掲示板管理人の戸惑い 残された家族の思い メールでカウンセリング 記者の感想 |
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毎日INTERCTIVEバックナンバー2003/3/10 毎日INTERCTIVEバックナンバー2003/5/21 |
警察による捜査の限界 |
| 毎日INTERCTIVEバックナンバー2003/5/19 | (上に関連して) 警察の足による捜査、発見 |
| 読売オンラインホームページ その1 | ネット自殺防止のための取り組みと課題〜いのちの電話〜 |
| いのちの電話 | (上に関連して)いのちの電話ホームページ |
| 読売オンラインホームページその2 | 自殺系サイトの問題点。 |
| ネット自殺への論議 | 掲示板への投稿より。 画一的な自殺への批判 |
| web東奥社説20030817 | 自殺者数の傾向 |
| gozans magazine | 一人では死ねない若者。 中高年者とは違う自殺意識 |
| 明治大学石川幹人教授HP | テーマ別討論報告集 ネットは自殺を後押しするかそれとも抑止するか? |
| インターネット心中騒動の落とし穴 | ネット自殺は珍しいことだったのか? マスコミの報道にも責任があるのではないか? |
| デジタル特捜隊 | 自殺が増えた理由 インターネットは自殺を容易にする |
| ドクター・キリコ事件 | ドクター・キリコ事件の詳細 |
| 練炭自殺者数 | 練炭自殺者数について。 ネット自殺も多い |
| 特集・人生の目的 | 美化される自殺 |
| 毎日INTERACTIVE 江藤淳さんを慎む | (上に関連して) 江藤淳氏関連文 |
| 警視庁発表自殺者数の統計 | 過去の自殺者数の統計資料 |
| 経済・社会データランキング | 世界の中の日本の自殺者数(人口10万人あたり) |
| 自殺の歯止めとなる生死観の確立を | 日本人の生死観 |
| ねちずん新聞5月号 | 2003/5/26 インターネットによる悲劇関係を絶つには |